今回紹介しているこの5物件の構造は一般的なマンションと比べると、いずれも防災対策などはしっかりしています。ただ、ここは敢えてということで5物件を比較をしてみてみます。
いずれの情報も情報源は、各物件の公式サイトおよび各社営業担当者さまからヒアリングした内容となっています。
重要な地震対策・耐震等級、から見ていきます。
勝どき ザ・タワー が制震。それ以外については免震、および、免震をさらに進化させた構造となっています。制震と免震については、双方新しい技術ということもあり、一概に免震が良いとは言い切れません。
しかし、(以下、私見です)現状では多くのケースにおいて免震に分があると感じています。僕は素人ですので、難しい話は分かりませんが、一般的にそのように判断されるケースが多くなっています。
1つ目の例として、長期優良住宅認定があります。免震は「耐震等級2と同等とみなす」というルールがあり、また、耐震等級に関わる一部の評価項目が免除になっています。
参考リンク
住宅性能評価・表示協会
1-1.1-2.が耐震等級の評価項目ですが、免震物件はこの評価を免除する。とあります。
2つ目の例として、地震保険があります。保険始期が2014年7月以降の地震保険からは、免震物件は日本損害保険協会の指導のもと、「地震保険が50%割引き」になっています。
参考リンク
日本損害保険協会
特筆したい構造が一つあります。
BAYZ TOWER & GARDEN で採用されているスイングセーバーです。これは兄貴分のSKYZにおいても採用された清水建設の免制震複合技術となっています。地震発生時、免震装置によって地面からの揺れを軽減すると同時に、住居部分の中心に構えた耐震コアが制震装置を介して住居部分を支える構造となっています。
BAYZ TOWER & GARDEN で採用されているスイングセーバー概念図(下図)
ここまで、免震に分があると記載しておいて今更ではありますが、勝どき ザ・タワー が世界で初めて採用をしたVDコアフレームについても、見劣りするものとはなっていません。
一般的な制震装置は、上下階の間に入るものが多いのですが、この場合は制震装置の可動幅が短くなります。それに対して、VDコアフレームは制震装置が3つの建物の連結部分に入っているために、可動幅を大きくとることが出来ており、揺れを吸収する力は高い構造となっています。
勝どき ザ・タワー で採用されているVDコアフレーム概念図(下図)
耐震等級については 勝どき ザ・タワー については1。それ以外は2となっています。地震保険の金額に差が出てきますので、ご注意下さい。
・基礎について
構造と同様に重要とされる「基礎」ですが、ここについては 勝どき ザ・タワー のみが、直接基礎。それ以外は杭基礎となっております。地盤が硬いところでしか、直接基礎構造とはできません、勝どき ザ・タワー の建築エリアについては地盤が硬いところです。気になる方は東京都が地盤の硬さを発表していますので、以下よりご確認ください。
参考リンク
東京都の地盤
・液状化対策はいずれのマンションにおいてもなされています。震災後に企画されたマンションということもあり、対策はされていますので液状化の心配はあまりないと思われます。東日本大震災の際にも、これらのエリアでは液状化はあまり見られていません。有明エリアにごく僅かに、という程度です。
代表的な液状化対策方法である「SAVEコンポーザー」のイメージ図(下図)
(クリックすると拡大します)
・コンクリート強度、水セメント比については、現在の技術レベルにおいてはいずれのマンションも最高のものが使われていると考えて頂いて良いと思います。比較対象がいずれも非常に優秀なマンションであるために差が出ていませんが、コンクリート強度が30N以上・水セメント比が50%以下というと「100年コンクリート」と一般的には呼ばれているものとなっており、西暦2100年までも持つ構造となっています。※あくまでも構造としては、です。
・非常用発電機についても、48-72時間と2-3日間は電気がストップしてもエレベーター等は動かせる対策がなされています。
・長期優良住宅については、勝どき ザ・タワー のみ認定なし、それ以外は認定されています。長期優良住宅の評価項目のひとつに「耐震」に関連するものがあり、耐震等級2以上、もしくは免震構造、となっているため、勝どき ザ・タワー は少なくともこの部分は条件を満たしていません。
長期優良住宅認定がある場合と無い場合ですが、税制上にも2つ違いがあります。
1つ目として、住宅ローン減税の最大控除金額が、認定ありの場合は500万円(50万円/年×10年)、認定無しの場合は400万円(40万円/年×10年)です。
2つ目として、固定資産税・都市計画税の減免(半額)期間が、認定ありの場合は取得より7年間。認定無しの場合は取得より5年間、となっています。減免詳細については、以下のリンクをあわせてご参照ください。
参考リンク
財務省
東京都主税局
固定資産税・都市計画税減免:http://www.tax.metro.tokyo.jp/shisan/info/nintei-1.pdf
免震・制震の議論はしばらく尽きないことと思います。
ただ、この議論に終止符を打つような出来事は望みません。大きな地震が起きることなく(仮に起きたとしても、免震・制震構造ともに被害が少なく)、何よりも貴重な人命が失われないようになり、免震も制震も(耐震であっても)人命に対しては完璧な構造ですね。となること、願って止みません。
次回は「専有部分」について比較をして参りたいと思います!